「ヤマシャクヤクを楽しみませんか」
ヤマシャクヤクは北海道から九州までの主に石灰岩地の山の林床に見られる野生のシャクヤクです。春に芽を伸ばして葉を展開しながら蕾を伸ばして開花します。花保ちは長い方ではなく2~3日くらいが限度ですが、侘び錆のある草姿と花はお茶花としても人気が高く、鉢植えでも庭植でも楽しめる人気の山野草です。とくに四国や九州などの多産地では多くの斑入り葉個体が発見されて実生継代された綺麗な品種が次々と発表されています。抜群の草姿を持ち、品格や風格を備えたヤマシャクヤクの斑入り品種たちは「究極の斑入り山野草」とも言われるほどに格調高く、多くの園芸愛好家に親しまれています。近年は斑入り葉のほかにも八重咲きをはじめとする多くの変化花も各地で見出されて愛好家の蒐集欲をいっそうかき立てています。それに伴い実生による交配育種も始まり、ヤマシャクヤクも多芸品種の時代に入りつつあります。今回は特集として、このヤマシャクヤクの斑入りや花変わり、栽培法や育種の仕方についてもご紹介してみたいと思います。